鏡面仕上げシャフト製作事例『Mirror Finish対応・高精度SUJ2シャフト』
― 曖昧な英文指定『Hight Polish with Mirror Finish』を定義し、研究開発用途に対応した超精密加工 ―
『鏡面仕上げ』という言葉は、図面上ではよく使われる一方で、実際の品質レベルが曖昧になりやすい仕様です。
本事例では、英文図面に記載された『Hight Polish with Mirror Finish』という抽象的な要求を、数値基準と加工プロセスに落とし込み、高精度シャフトとして実現した取り組みをご紹介します。
■ 製品仕様(今回出荷品)
名称:SHAFT(Hight Polish with Mirror Finish)
形状:(φ4 × φ6 × φ4) × L90(両センターあり)
材質:SUJ2
仕上げ:研削加工(▽▽▽)+ 鏡面仕上げ(Mirror Finish)(▽▽▽▽)
熱処理:焼入れ・焼戻し(HRC58~64)
数量:1本(特注品)
図面:英文図面(海外仕様)
設計:渡辺精密工業株式会社
当社製造番号:25-02925
■ 課題:『鏡面仕上げ』という曖昧要求と高精度加工の両立
本案件では、研究開発用途という特性上、詳細な用途は非開示でしたが、図面上には『Hight Polish with Mirror Finish』という指示があり、以下のような技術課題が存在しました。
① 鏡面仕上げの品質基準が不明確
・『鏡面』は主観的表現であり、企業ごとに品質レベルが異なる
・面粗度(Ra・Rz)の数値指定がない
・外観重視か機能重視か判断できない
② 研磨キズの許容可否が不明
・鏡面加工では微細な研磨痕が発生する可能性がある
・外観部品ではNG、機能部品では許容されるケースあり
・事前合意がないと品質トラブルのリスクが高い
③ 高硬度材SUJ2の超精密加工
・HRC58以上の材料を鏡面まで仕上げる高難度加工
・真円度・同軸度 0.005mm以内の要求
・研究用途のため再現性と安定性が必須
■ 解決策:曖昧仕様の定義化と高精度加工プロセスの確立
① 『鏡面仕上げ』の定義を事前に明確化
当社では曖昧なまま加工に入らず、以下の内容を整理し、お客様と合意形成を実施しました。
・鏡面のレベル区分(一般鏡面/高鏡面/超鏡面)
・面粗度での定量的管理の必要性
・研磨工程における微細傷の発生メカニズム
このプロセスにより、『期待値のズレによる不具合』を未然に防止しています。
② 高硬度SUJ2の鏡面研削+ラップ仕上げ
・▽▽▽研削による形状精度確保
・ラップ加工による鏡面化
・硬質材特性を活かしたキズ抑制
熟練技術者による工程設計と加工により、安定した鏡面品質を実現しました。
③ 真円度・同軸度 0.001mmの高精度達成
図面要求(0.005mm以内)に対し、出荷検査では
・真円度:0.001mm
・同軸度:0.001mm
を達成。研究開発用途にも対応可能な精度レベルを確保しました。
■ 技術的ポイント:鏡面加工で重要な3要素
鏡面仕上げは単なる外観品質ではなく、以下の要素の組み合わせで成立します。
・面粗度(Ra・Rz)の管理
・加工プロセス(研削+ラップ)
・材質特性(硬度・組織)
特にSUJ2のような高硬度材では、加工条件の最適化と技能者の経験値が品質を大きく左右します。
■ 導入効果:研究用途に求められる精度と再現性の確保
本製品により、以下の効果が得られました。
・高精度な回転・摺動特性の実現
・測定・実験結果の再現性向上
・外観品質と機能品質の両立
・試作段階での信頼性確保
■ このような課題に対応可能です
・鏡面仕上げの品質定義が曖昧で困っている
・英文図面や海外仕様に対応したい
・高硬度材の高精度シャフトを製作したい
・研究開発用途の試作品を1本から依頼したい
■ 渡辺精密工業の対応領域
・鏡面仕上げシャフト(Mirror Finish)
・高精度研削加工(ミクロン精度)
・SUJ2など高硬度材の加工対応
・英文図面・海外仕様対応
・単品試作~量産まで柔軟対応
設計・加工・検査まで一貫対応し、『意図を理解したものづくり』を提供します。
■ FAQ(よくあるご質問)
Q1. 『鏡面仕上げ』とはどの程度の粗さを指しますか?
A1. 明確な定義はありませんが、一般的には面粗度(RaやRz)で管理します。当社では用途に応じて『数値基準』を設定し、お客様と事前に合意した上で加工します。
一般的には0.4Rz以下を鏡面加工と呼びます。
Q2. 鏡面加工でキズは完全になくせますか?
A2. 理論上、砥粒を使用するため微細な研磨痕が残る可能性はあります。ただし用途に応じて極めて目立たないレベルまで仕上げることは可能です。
Q3. SUJ2のような高硬度材でも鏡面仕上げは可能ですか?
A3. 可能です。むしろ高硬度材の方が安定した鏡面品質を得やすい場合もあり、適切な研削・ラップ加工により対応します。
Q4. 英文図面や海外仕様にも対応できますか?
A4. 対応可能です。曖昧な表現については事前に仕様を明確化し、品質トラブルを防ぐ体制を整えています。
Q5. 1本からの試作でも依頼できますか?
A5. はい、可能です。研究開発用途や評価用の単品製作にも柔軟に対応しています。
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